Qwen3.6 27Bと35B-A3Bをllama.cppで比較:GGUFベンチマーク手順
Qwen3.6-27Bと35B-A3Bの公式性能、モデル構造、GGUF容量を比較し、llama.cppで再現可能な速度・品質ベンチマークを行う方法を解説します。

結論
Qwen3.6-27Bは品質を優先しやすいdenseモデル、Qwen3.6-35B-A3Bは総35Bの重みを持ちながら1トークン当たり約3Bを活性化するMoEモデルです。MoEは計算量を抑えやすい一方、保存する重みが3Bになるわけではありません。
llama.cppではggml-orgのGGUFが公開され、公式本流から直接起動できます。比較では同じビット数だけでなく、実ファイル容量、KV cache、prompt processing、generation、実タスク品質を記録します。
モデルの違い
| 項目 | Qwen3.6-27B | Qwen3.6-35B-A3B |
|---|---|---|
| 構造 | Dense | MoE |
| 総パラメータ | 27B | 35B |
| 活性パラメータ | 27B | 約3B |
| native context | 262,144 | 262,144 |
| 拡張上限 | 約1,010,000 | 約1,010,000 |
| llama.cpp公式GGUF | あり | あり |
両モデルともGated DeltaNetとGated Attentionを組み合わせたハイブリッド構造で、画像入力にも対応します。本記事ではテキストLLM部分の比較に絞ります。
公式の品質ベンチマーク
Qwen公式27Bモデルカードに掲載された値の一部です。これは公式条件での公開値であり、GGUF量子化後の値ではありません。
| ベンチマーク | 27B | 35B-A3B |
|---|---|---|
| MMLU-Pro | 86.2 | 85.2 |
| SWE-bench Verified | 77.2 | 73.4 |
| SWE-bench Pro | 53.5 | 49.5 |
| Terminal-Bench 2.0 | 59.3 | 51.5 |
| SkillsBench Avg5 | 48.2 | 28.7 |
掲載値では27Bが優位ですが、ローカル運用では速度、消費電力、メモリ、量子化後の品質も含めて選びます。
必要メモリの考え方
重みだけの理論下限は、27Bなら16bitで約54GB、8bitで約27GB、4bitで約13.5GBです。35Bなら約70GB、35GB、17.5GBです。実際には量子化スケール、GGUFメタデータ、KV cache、実行バッファが加わります。
ggml-orgの公開ページでは、Qwen3.6-27B Q8_0が約28.6GB、35B-A3B Q8_0が約36.9GB、35B-A3B BF16が約69.4GBと表示されています。ダウンロード前に対象ファイルの実サイズを確認してください。
起動例
# 27B
llama-server \
-hf ggml-org/Qwen3.6-27B-GGUF:Q8_0 \
--host 127.0.0.1 --port 8080 \
-c 32768 -np 1 -ngl 99
# 35B-A3B(利用する量子化タグはリポジトリで確認)
llama-server \
-hf ggml-org/Qwen3.6-35B-A3B-GGUF \
--host 127.0.0.1 --port 8081 \
-c 32768 -np 1 -ngl 99
最大1M contextを最初から指定する必要はありません。通常のチャットなら32K程度から始め、実際の入力に合わせて増やします。長いcontextはKV cacheを増やし、同じハードウェアでも速度と同時実行数に影響します。
速度ベンチマーク
llama-bench \
-hf ggml-org/Qwen3.6-27B-GGUF:Q8_0 \
-p 512,2048,8192 \
-n 128 \
-r 5 \
-o json > qwen36-27b.json
もう一方も同じ条件で実行します。比較表には以下を残します。
- pp512、pp2048、pp8192のtokens/s
- tg128のtokens/s
- ピークRAM・VRAM
- モデルロード時間
- 最初の1トークンまでの時間
- llama.cppビルド番号とGGUF名
品質ベンチマーク
公開ベンチマークだけでなく、自分が使うタスクを各10〜30問用意します。例えば次の4群です。
- 日本語の要約:固有名詞と数値を維持できるか
- コード修正:テストが通る差分を作れるか
- 長文検索:本文中の離れた2情報を結合できるか
- ツール呼び出し:指定JSON Schemaを守れるか
temperature、seed、system prompt、thinking設定を固定します。Qwen3.6の思考保持についてはpreserve_thinking解説も参照してください。
どちらを選ぶか
- 品質を優先: まず27Bを基準にする
- 生成計算量を抑えたい: 35B-A3Bを同一環境で測る
- メモリが厳しい: 両方の4〜6bit候補を実サイズと品質で比較
- 長文が必要: 最大値ではなく実際の入力長でKV cacheを設計
まとめ
公式値ではQwen3.6-27Bが複数の品質指標で35B-A3Bを上回りますが、MoE版には活性パラメータが少ないという別の利点があります。llama.cppでは両方をGGUFで試せるため、同じ量子化名だけに頼らず、速度・メモリ・自分の問題集を一式で測るのが確実です。多数同時リクエストを扱う場合は、vLLMでのQwen3.6比較も検討してください。


