vLLM v0.25.0最新動向:MRv2標準化とPagedAttention削除を解説
2026年7月12日公開のvLLM v0.25.0について、Model Runner V2、PagedAttention削除、推論高速化、parser、KV offloadの最新状況を解説します。

この記事の結論
2026年7月12日時点の最新安定版は、7月11日に公開されたvLLM v0.25.0です。最大の変化は、Model Runner V2(MRv2)がすべてのdenseモデルで標準になり、旧PagedAttention実装が削除されたことです。
名称としての「paged KV cache」の考え方が消えたのではなく、V1/MRv2標準化に伴い古い実装経路が整理された、と理解するのが正確です。
v0.25.0の主要変更
| 領域 | 変更 | 影響 |
|---|---|---|
| 実行系 | MRv2が全denseモデルの既定 | 新しい標準経路へ統一 |
| Attention | 旧PagedAttention実装を削除 | 古い経路に依存する設定は移行確認が必要 |
| Transformers | backendがnative vLLM級に高速化 | 専用実装のないモデルも導入しやすい |
| Parser | Streaming Parser Engine | reasoningとtool callの解析を統合 |
| Speculative decoding | 異なる語彙間のuniversal spec decode | drafter選択の幅が広がる |
| DeepSeek V4 | kernel・parser・分散処理を継続改善 | 初期対応から運用最適化の段階へ |
Model Runner V2が標準になった意味
MRv2はvLLMのモデル実行経路を整理し、CUDA graph、量子化、hybridモデル、speculative decodingなどを新しい基盤で扱う流れです。v0.25.0ではdenseモデルの既定となり、EVS、realtime embeddings、Mamba hybridのprefix caching、動的speculative decodingなどの対応も追加されています。
アップグレード時は「起動するか」だけでなく、同一モデル・同一入力で出力と性能を比較してください。以前に環境変数でrunnerを切り替えていた構成は、既定値の変化を確認します。
PagedAttention削除を誤解しない
vLLMは長くPagedAttentionで知られてきました。v0.25.0のrelease noteにある削除は、V1/MRv2 backendが標準になったためlegacy attention implementationを削除したという内容です。KV cacheをブロック単位で効率よく管理する目的まで放棄したわけではありません。
記事や設定ファイルで「V0のPagedAttention実装」を前提にしている場合は、最新ドキュメントに合わせて読み替えが必要です。
Transformers backendの進化
v0.25.0ではTransformers modeling backendがnative vLLMと同程度に高速化したと発表され、FP8 MoEやCUDA graph関連の改善も入っています。新モデルの専用クラスがvLLMへ入るまで待つしかない、という場面を減らせる可能性があります。
ただし「読み込める」と「全機能・全量子化・全GPUで最適」の間には差があります。本番導入ではsupported models、release note、対象モデルのrecipeを確認します。
DeepSeek V4の最適化
v0.25.0ではDeepSeek V4に対し、token-to-request index cache、MXFP8 kernel、AMD AITER MoE最適化、Streaming Parser Engineへのparser移植などが入りました。v0.22.0前後の初期サポートから、複数backendと大規模配信を詰める段階へ進んでいます。
APIと運用面
OpenAI互換APIでは、リクエスト単位のtiming metrics、Responses APIのtool関連、render endpointのtoken offsetなどが追加されています。Rust frontendもHTTPS/mTLSやDP supervisorを含めて成熟していますが、すべての構成で既定という意味ではありません。
アップグレード手順
- 現在のvLLM、PyTorch、CUDA、driver、モデルrevisionを記録
- 既存環境を上書きせず新しいコンテナまたは仮想環境を作成
- 単発の出力一致とstructured output・tool callを確認
vllm bench serveでTTFT、TPOT、throughputを比較- 少量トラフィックから切り替え、旧環境を残す
vllm --version
vllm bench serve \
--backend openai-chat \
--base-url http://127.0.0.1:8000 \
--model YOUR_MODEL \
--dataset-name random \
--num-prompts 100
v0.25.0を選ぶべきか
- 新規検証: v0.25.0を起点にする価値が高い
- 既存本番: MRv2とlegacy削除の回帰試験後に更新
- DeepSeek V4: 新しい最適化とparserを使うため有力
- 独自plugin/backend: 内部API変更を確認してから移行
まとめ
v0.25.0は、vLLMの新世代実行系が「選択肢」から「標準」へ移った節目です。新規構築には魅力的ですが、既存環境では古いrunnerやattention実装への依存を洗い出し、実トラフィックに近い条件で測ってから更新してください。


